2024年7月アーカイブ

コロナ禍。
 世界中が分断と隔離でかつてない閉塞感に大混乱に陥ってから数年、OPENから15周年を迎える新代田のLIVEHOUSE FEVERのFEVER TOURS at THAI BANGKOK が今年遂に満を持して戻ってまいりました。

 タイでのドタバタ、奇跡、感動、盛況ぶりを振り返って僭越ながらFEVERのポンコツ代表、エセ妻〇木、想定の斜め上しか出せないタテノリ野郎こと私、鍛治川の視点でお届けいたします。

7月4日 成田空港を出発。FEVER一同タイへ。

 かく言う私は、入社4年目の若造ということで初のFEVER TOURS。緊張もありつつ事前に調べたタイのあれこれのことを考えながら7時間飛行機に揺られ、バンコクに到着。空港にあふれかえる人々、見慣れぬタイ語の看板や標識...遂にタイにやって来たなぁなんて感慨に耽ってみる。
そして空港を一歩出た瞬間、タイの洗礼を浴びることになる。

暑い。蒸し暑すぎる。湿度が日本の比にならない。

 人一倍代謝のいい私の体は体温を下げるために汗腺をフル稼働させている。空港から出ただけなのにショーシャンク刑務所を脱獄したアンドリューのようなずぶ濡れ具合。この気候を6日間耐えねばならないのか。泣 一気に不安が押し寄せてきた。

 そんなこんなで始まったタイ滞在。1.2日目はほぼフリーに行動できるということで各々がタイを満喫。街へ繰り出し、大汗を搔きながら歩き回り時折タイのビール、シンハーをキメる。キンッキンに冷えてやがる。犯罪的美味さだ。
 夕方からはタイツアーの度にFEVERがお世話になりまくっているという現地在住、マスターオブタイランドのジンさんお勧めのレストランでメンバー全員で食事、本当に美味かった。回る円卓を囲んで大人数で豪勢な食事など人生で初。そして、新米の自分みたいな者にも今回のバンド、スタッフチームの方々も快く話してくださり、打ち解けれて楽しかった。
 その後は初のタイのクラブに行かせていただいたり、タイ観光名物トゥクトゥクによる対ぼったくり価格交渉、デスドライブを経験したりと濃密な時間を過ごすことができた。
 ここで強烈な思い出として特筆しておきたいのであるが、前述のトゥクトゥクの運転手は気性が荒い人が多く、車体に窓などは一切ないにも関わらず、猛スピードで爆走する。運転手の見た目はターミネーター2のT1000型、ドライビングは外道の秀人も真っ青な走りっぷり。コーナーで差をつけんとぐんぐんスピードを上げ、一般車を抜き去っていく。一歩ミスれば鰐淵さんの名言よろしく不運と踊(読:ハードラックとダンス)っちまう。漫画の世界のような経験だった。
(私は今回計3回乗ったもののドライバーは漏れなく全員厳つめの↑な感じでした。が、きっと優しくて安全運転のドライバーさんもいます...たぶん。)
 ...と、私の個人的なエピソードはこの辺にしつつ、刻一刻とライブの日が迫る。

 迎えた3日目と4日目。いよいよBLUE PRINT LIVEHOUSEにてイベント開催。
今回の日本代表は奈良からやって来た皆さんご存じMost famous Japanese Rock'RrollBand、LOSTAGE。
そして、ジャンルに絞ることすら烏滸がましいほどの多彩さで最早、「ノベンバというジャンル」として確立されたバンド、The Novembers。更に、Ropesからは国内外問わず唯一無二の存在感で会場を虜にするシンガー、Achicoさんの計3組。
 タイからはジンさんがドラムを務めるFaustus,Soft Pine,VVAS,FORD TRIO,INSPIRATIVE。内FaustusとSoft Pineは以前、FEVERでもライブをしており、その実力は折り紙付き。その2組と肩を並べる2組にも期待が高まる。

 粛々とリハや会場準備が進んでいく中、若干時間は押したものの無事開場。
普段と少し違う雰囲気に、緊張感に、固唾を呑んで見守る。

 暗転の後、空間を抉るような轟音と共にライブが始まった。
 
 グルーブ爆発のドラム、吠えまくるギター、地を這うような太っといベース、浮遊感と緊張感が共存するシンセワーク、言語を解さずとも熱が伝わるヴォーカル。
 私のつたない言葉ではとても表現しきれないが、社長がよく言っていた言葉を借りるなら、「今、アジアで一番面白いのがタイの音楽シーン」。その担い手としてステージに立つ彼らを見て、その言葉の意味が初めて実感できた。という感じだ。そしてまた、これも社長の過去の記事からの引用であるが、「少しでも気になったライブは、観に行ったほうがいい」。その言葉通り、まさしく今ライブでみるべきバンドが今回のステージに勢ぞろいしていた。


 そして、我らが日本代表組のライブ。いずれも海外でのライブ経験豊富な3組、各々個性が爆発し完全にフロアをロックしている。
 そして、なんといってもタイのお客さんのノリが最高だ。Achicoさんのキーボードを聴きながら笑顔で乾杯する人、LOSTAGEの演奏を焼き付けようと一瞬たりとも目を離さない人、The Novembersに発狂と言わんばかりの歓声で体を揺らす人。
 音は言語の壁を越えていくという表現は、これを語るに安易すぎるかもしれないが、あの光景はまさにそれであった。

音楽を好きで良かった。そう感じ、噛みしめた2日間だった。

 翌日はタイのCDショップ、CD COSMOSにて、スタジオライブ形式での映像の収録。棚と壁に並んだ数々の名盤のレコード達をバックに各バンドが演奏を披露する。
 前日までの雰囲気と打って変わって静けさの中での演奏。同じ曲であっても"ライブ"と"収録"では全く色が違う。昨日まではバンドがステージで躍動する瞬間を、その翌日には職人のように一曲一曲を確認と手直しを入念に重ねていくクリエイティブな面を見ることができ、仕事としてはもちろんのこと、いちファンとしてなんとも贅沢な光景を味わうことができた。
 その後はタイのバンドチームも合流して今回のイベント関係者全員で打ち上げ。タイチームの方々とも今回のライブのあれこれを自分なりのつたないタイ語となんちゃっての英語を駆使して話すことができ、最後は力強い握手で終えることができた。

 最終日は各々自由にお土産を買いに出掛けるも良し、観光に繰り出すも良しということで滞在ラストの一日を満喫、深夜のフライトを経て翌朝帰国。無事全日程が終了。
 振り返ってみればあっという間で、タイのことはまだまだ知らないことだらけだが、この滞在中、たしかにタイの音楽シーンの素晴らしさと懐の深さを見ることができた。

 今回のイベントにあたって関わっていただいたすべての方にとって貴重な経験になりえたと思える充実した日々でした。タイ、またいつか必ず行きたいです。

P.S 
 今回のタイ滞在中本当に何から何までお世話になった立役者、我らがマスターオブタイランドのジンさん、本当にありがとうございました。
 我々FEVERチームがタイにいる頃、日本では新紙幣が発行されていましたが、次にタイの紙幣が新しくなる頃にはジンさんを肖像にいかがでしょう?タイの造幣局?の方、ご検討よろしくお願いします。

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