Let's Talk about New Fever vol.3_002
――:みなさんの付き合いは昔からなんですか?
TGMX:西村さんが下北沢シェルターにいた頃......1998年ぐらいからかな? それぐらいからSCAFULL KINGはよく出させていただいてたし、元々俺らはシェルターっ子でしたね。スキャフルは当時、<DOUBLE TUCK OUT>っていう2マン企画をやってて、それを西村さんに頑張って宣伝してもらったり、逆に提案をもらったりして、本当にお世話になってました。
西村:あの頃は「なんでずっとシェルターでやってくれるんだろう?」って思ってましたよ(笑)。
TDC:やりやすかったんですよ、すごく。
TGMX:そんなにリハやらなくても「はい、オッケー!」みたいな感じで中音もすぐ決まってたし。まあ、メンバーが6人だから狭いっていうのはあったけど、すごく力を入れてくれてたからね。
西村:今、ふと思い出したんですけど、俺の師匠は平野さん(平野実生さん)で、平野さんはシェルターの初代店長で、俺は3代目なんですけど、スキャフルって昼の部に出てましたよね?
TDC:すげえ昔に出てました。
西村:そのときのことを平野さんが話してくれて。
TGMX:「こいつらを売れ!」みたいな指令でもありました?(笑)
西村:平野さんは売る/売らないっていうより、「あいつらは絶対面白いから」みたいなことを言う人なんですよ。そういう言葉からこっちがいろいろ汲み取るっていう。平野さんにとっては面白いかどうかが大事なんですよね。
TGMX:言っていいのかわからないけど、俺らをメジャーレーベルに紹介してくれてましたからね。
西村:あ、そういう話もありましたね。
TGMX:とあるレコード会社の会長とお会いしてご飯食べさせてもらいましたもんね。
TDC:噂で聞いたのは、シェルターの深夜のバータイムのときに、俺らのプリプロのテープを大音量でかけて、「このバンドはどうなんだ」っていう会議が行われたっていう(笑)。
――:結局、なんでメジャーに行かなかったんですか?
TGMX:「ま、いっかな」ぐらいに思ってて。自分たちが知ってるスタッフだけでやりたくて。あのときもせっかくの好条件だったんだけど。当時はまだ僕らのまわりとかがメジャーに行く前で、「スキャフルはどこ行くんだろう? トイズか?」みたいに、どのバンドがどこに行くのかよく話が出てたよね。
――:90年代後半って本当にそういう感じでしたよね。
TGMX:そうそう。すげえ懐かしい(笑)
――:そんな流れのなかでよく行かなかったですね。
TGMX:なんかねえ......"セルアウト"ってしょうもない言葉なんだけど、それがずっと頭のどこかにあって。別に、僕らのまわりがメジャーでセルアウトしたわけじゃないからやり方次第なんだなとはあとで思ったけど、当時はメジャーに行く考えはあまりなかった。悩みはしたんだけど、「やっぱ止めよう」って。でも、メジャーに行ってたらこんなふうに西村さんと仲良くなってなかったかもしれないし、日本全国のライブハウスの人たちと直接ご挨拶したりお話することでたくさんの財産を得ることができたから、それはよかったなって。
――:TGMXさんたちがホームグラウンドをシェルターからFEVERに移したのは、西村くんの存在が大きいですよね。
TGMX:そう。西村さんという人ありきだったと思います。だから、FEVERの場所が新代田じゃなかったとしても、西村さんがつくったライブハウスなら俺らは出てたと思う。
西村:最初から新代田にライブハウスをつくるつもりはなかったんですよ。はじめは下北でやろうかとも思ってたけど、ロフトグループに申し訳ない気持ちもあったし、それ以上に家賃が高すぎて。それで、「駅近が面白そうだな」と思ってたらたまたま隣町の駅前にいい物件があったから、「これはいいな」と。
TGMX:最初は、「新代田? 代田橋? よくわかんねぇな」って、こんなに近くに住んでるのに区別つかないぐらいの街で(笑)。ところで、FEVERってジャンルはないんですか?
西村:そこも師匠からの教えというか、カッコいいものをちゃんとカッコいいと言える環境づくりをしたくて。だから、たとえお客さんの数が3人でも、伸びていくだろうと感じたバンドならしっかりサポートしていくっていう。そういうところに夢を持ちたいんですよね。ただ、これは課題でもあるんですけど、ここ2、3年「FEVERはホームだ」って言ってくれるバンドが増えてない気がして。若いバンドがもっとこっちに来てくれたらいいなと思ってるんですよね。
TGMX:ああ~。
西村:その原因のひとつとして、FEVERの敷居が高くなっちゃってるらしいんですよ。
TGMX:絶対そうですよ。それは宿命ですよ。
西村:誰でも出られるライブハウスにしたいのに、それがすげえ嫌で。
TGMX:すでにある程度名前が知られてるバンドばかりがFEVERでやるっていう。
TDC:だからFEVERでイチから育てるのが難しい。
西村:そうですね。シェルターではバンドを育てた経験があったので、余計にそういう状況が歯がゆかったりして。
TGMX:どうしたらいいんだろう。昼の部をバンバンやるとか?
西村:まあ、ないものねだりなのかもしれない。はじめの頃は全然スケジュールが埋まらなかったりしたし。
TGMX:僕らはFEVERで長くやらせてもらってるからわかりますけど、最初の頃より照明が増えたり、音響もよくなってハコのグレードが上がってきてるから、みんな使いたがりますよ。
西村:シェルターでは先輩の顔を潰さないように仕事をしてたんですけど、FEVERで10年続けてきた今はちょっと意識が変わってきましたね。
TGMX:10年ですもんね。