とりとめのない話 -西村仁志のブッキングキャリア、最大の汚点-

自分はライブハウスのブッキングには向いていないのかもしれない。

おとぎ話という素晴らしいバンドを長期に渡り見過ごしていたからだ。

おとぎ話を知ったのは、世間的にも知られた「銀杏チルドレン」として名が出てきた頃だと思う(2005年?)その頃、自分は下北沢SHELTERで店長と合わせてブッキングを全てまとめていた。当時の下北沢ライブハウスは超絶わかりやすく言えば「相当ブイブイやっていた」という感じだろうか。デモテープと言われるスタジオ一発録音やライブを録音したカセットをライブハウスに送って合格したらオーディションライブ、デモテープは多い時で月に100本前後、そんな時代だった。出演したいと言っていただけるバンド数も相当多く、こちらはこちらで「カッコいいバンドじゃないと出演出来ないっすよメーン?」とまでは言わずとも相当ブイブイ言わせてる、そんな風に見られていたようにのではないだろうか。

そこで出てきた銀杏チルドレン。自分は積極的に距離を置いていた。もっと正確にいうと好きではなかった。中央線界隈で銀杏BOYZの二番煎じ(というイメージ)好きな要素は皆無だ。もうここですでにブッキンガーとしては失格。バンドのライブを経験せずに良いだ悪いだ決めるという愚かなことをしていたと反省している。

ただ、最近おとぎ話のHPにてupされている「HISTRY OF O.V.」の一説に「そもそも下北沢でやってるバンドじゃなかったし、むしろ下北沢ファックという感じで中指を立ててるようなバンドだったから」という文章があり、当時(今でも)下北沢を愛し、ホームとしていた街に中指を立てていたとしたら仲良くもなれない理由もそりゃ分かる(笑)

おとぎ好きじゃない期間は実はその後も続いており、本当にもう失礼ではあるがFEVERが出来てから幾度となく出演してくれているのに、下北沢から続くおとぎ話と距離を置く気持ちは続いていた。

「あれ?もしかしてこのバンド、凄いかも」と思ったのは2013年頃と記憶している。FEVERのオープンが2009年なので結構な月日が経っていた。何気なくライブを見て、うーん良かったな、俺、あんま好きじゃなかったけどなんか良かったな、というおとぎ話マジック。絶対的にハマるきっかけは2つ。1つはFEVER5周年を記念して行われた「FEVER TOURS 2014」へのおとぎ話の参加で一緒にツアーに行ったことが大きかった。このツアーの参加はFEVERマッチメイクの申し子である浦本の助言があった。ASPARAGUSとLOSTAGEはツアー参加が決まって、もう1つ誰がいいかなと考えていたところに浦本から「おとぎいいと思うんすよね」ロストエイジとおとぎは仲がいいのは知っていたが、おとぎとアスパラ...うーんとは思いつつツアーが始まればアスパラとおとぎの仲は速攻で距離が縮まり、ロストエイジの「あの感じ」も相まって素晴らしいグルーヴでツアーは完走された。ツアーを一緒に廻った時のおとぎ話のバンド感、人間性、楽曲の素晴らしさ、打ち上げの強さ(重要)全てに引き込まれていく自分がいた。2つ目は2015年に発売されたおとぎ話7枚目のアルバム「CULTURE CLUB」これがまた素晴らしい作品でこれしか聴いていない日々があったし、今でもよく聴いている最高な作品。真っ直ぐにひねくれているおとぎ話全開のこの作品は今までのアルバムの中でも群を抜いて聴きやすくなっているが、ポップな知性とサイケやアバンギャルドのバランスが素晴らしく、どこにでも向けてどこにでも行けるおとぎ話の柔軟性を整えた上で爆発させた新しい光が凝縮されたこの音源でもう「参りました」となってしまった。

2022年8月13日(土曜日)おとぎ話は日比谷野外音楽堂にてワンマンを行う。野音でワンマンを行うことはごく限られた一部のバンドやアーティストでないと行えない。野音の使用は完全なる抽選で使用権が決まるからだ(お祭りによくあるガラガラと回して玉がポンとでくるアレで決めている)数百と言われる倍率で基本当たらない。当たるかどうかは俗に言う「ロックの神様が微笑んでくれるかどうか」というやつだ。マッチメイクの申し子である浦本が「おとぎが野音でやったらいいと思うんですよね」というとても熱い、同時に「当たればね...」という冷めた気持ちがありながら浦本は毎月野音へ足を運んだ。そして、当てた。浦本自身が。ロックの神様はおとぎ話と浦本に微笑んでくれたようだ。

近年、音楽をしながらどう生活をしていくか、特にバンドフォームの場合はどう続けていくかはテーマとしてあげられる。綺麗事だけでは済まされない日々、バンドで音を出し続ける芸術活動をすることはもう「尊い」とまで思う。おとぎ話はその中でも群を抜いて謎が多い不思議な存在だ。個が際立ったキャラクター、バンドとしての技量、総合的なバンドの立ち位置。はっきり言えばそんな難しいことをしているわけでもないし、何千人ものキャパでライブをするわけでもない。ただただ曲が素晴らしく、それをおとぎ話として演奏すると何故か心が躍り、鼓舞され、泣きながらライブを見ている表情は全員笑顔。この素晴らしさに気がついてない人が多すぎる。昔の自分のように色メガネで見ている方もまだいるのではないだろうか。

日本のロックンロール最大の謎を知るにはうってつけのチャンスat野音。

「気になるライブは行ったほうがいい」ライブハウスを経営する自分は常にそう考えている。人生は待ったナシだ。野音で数々の名曲は演奏されるのだろうか?ストイックに最新作「US」だけの演奏でもそれは伝説になる。ただ、自分が見逃していた時期の最大の名曲とされる「SMILE」がもし演奏されたら自分は泣いてしまうと思う。これほどまでの素晴らしいバンドを自分が見逃していた悔しさと、おとぎ話の今後の未来を讃えて全国から集まったおとぎヘッズと乾杯しまくっているだろう。

事務所に所属せず、マネージャーがいるわけでもないバンドが野音でワンマンを開催するその心意気が読んでいる方に届けば嬉しく思う。

新代田FEVER 西村仁志

おとぎ話野音.jpg

おとぎ話日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION> 特設サイト https://otogivanashi.com/shows/20220813_2/

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